日本酒造りにおいて『麹』はなくてはならない材料です!
しかし、麹の役割や種類になどついては、
知らないことが多いのではないでしょうか。
今回は、日本酒造りにおける麹の種類や役割についてご紹介します。
麹の役割
麹造りは、日本酒造りにおいて、最も重要な工程のひとつとなります。
麹造りとは、原料となる米に麹菌を繁殖させて麹を造る工程のことです。
麹菌は人体に害を与えないカビのなかに含まれる菌であり、
日本酒造りにおいては、主に米のデンプンを糖に分解する酵素を生み出します!
つまり、米から甘味や旨味を引き出し、
日本酒の味の基礎を決定するという大切な役割を果たしているのが麹なのです。
麹菌の増殖作業は、微細なコントロールが必要です。
そこで活かされるのが、人の手が織りなす技術とセンスとなります。
麹造りは、杜氏や蔵人にとって『腕の見せどころ』であり、
その出来映えによって日本酒の質を大きく左右します!
日本酒の味わいは麹の種類で変わる
日本酒に用いられる麹には、菌糸の性質によって『突破精[つきはぜ]型』と
『総破精[そうはぜ]型』という2種類に分けられています。
『破精[はぜ]』とは、菌糸が米の内部に伸びていく状態のことを言います。
どちらの麹を使用するかで、日本酒の味が異なってくるのです。
突破精型
突破精型は、麹の菌糸が米の表面を覆わないタイプの麹となります。
しかし、菌糸がついたところは深く根をはるため、適度なタンパク質分解が行われます。
透明感があり、品のある飲み口に仕上げたい、吟醸酒に向いている麹です!
総破精型
一総破精型は、菌糸が米の表面を覆い、
かつ米の内部に深く菌糸をはるタイプの麹となります。
タンパク質分解や糖化する力が強いため、濃厚で力強い味わいの日本酒になるのが特徴です。
米の旨味をしっかり出したい、純米酒に用いられることが多い麹です!
伝統的な蓋麹法と機械化された手法を使い分ける
日本酒の味を決める麹造りは、気候や原料の状態を踏まえて、
きめ細やかで繊細な作業が必要となります。
そのため、これまで人手に頼った作業である『蓋麹法[ふたこうじほう]』で造られてきました!
蓋麹法では、麹菌を撒いてから乾燥させるまでに丸2日かかります。
その間、蔵人たちはつきっきりで作業を行います。
このような技術は、蔵元や地域ごとに伝統的に受け継がれ、
それがこれまでの日本酒造りの定石でもあったのです。
しかし、蓋麹法は多くの人力と時間がかかります。
また、蔵人によって仕上がりに違いが出るなどのリスクがある手法となります。
そのため現在は、特別な酒を造るときだけ蓋麹法を用い、
その他は、製麹機[せいきくき]というコンピュータ制御された機械を用いるのが主流になっているのです。
これにより酒質が安定し、新しい可能性を手にした蔵元も多く、
消費者にとっては安定しておいしい酒を、お手ごろ価格で楽しめるようになりました。
今後も、伝統的な蓋麹法と、製麹機による機械化された手法の両者をうまく使い分けながら、
麹造りが続けられていくことでしょう!